解剖生理学から病態・薬理・看護にリンク
● ただ解剖生理学を学ぶのではなく、病態・薬理・看護にリンクさせ、イモづる式に知識を増やしましょう
看護師国家試験のために基礎科目を学び直すというのは大変です。
解剖生理学を個別のものとして考えるのではなく、解剖生理学から病態・薬理・看護にリンクさせて勉強してみませんか?土台が固まると、目からウロコがおちるように、今まで分からなかったことが次から次へと分かってきます。
一を聞いて十を知るという言葉がありますが、基礎となる解剖生理学の知識がしっかりしていれば、他の科目も、イヤでも分かるようになってきます。
暗記ではなく、理解が大事
解剖生理学(機能形態学と言っているかもしれません。また、解剖学と生理学に分かれているかもしれません)は人体の構造と機能を学ぶ、基本中の基本の科目ですね。しかし、勉強しやすいかというと、教科書は、内容が細かく、ぎっしりと書かれていて、「こんなに頭に入らないよ~」という気持ちになります。それなのに、教員の先生は、あっという間に授業を進めてしまい、消化不良のまま定期試験を受けることになり、しかも、かなり細かい事項が問われて、いい点数を取れなかったということが思い出されるかもしれません。
解剖生理学は憶えるべき事項が多いですが、実は、暗記しようと思うから頭に入らないのです。
生理的メカニズムに沿って、ストーリーとして憶えておくと、部分的に忘れても、記憶をたどって思い出すことができます。
自分の手を動かすことで、頭もはたらいてくる
医療系の科目の教育は伝統があって、解剖生理学をはじめとして、系または臓器別に内容が記述されることが多く、それ以外は細胞レベルや分子レベルの内容になります。少し前の医学生は、各科目の教科書を臓器別に切り裂いてページ分割し、それから臓器別に各科目を合冊して持ち歩いて勉強していました。そうすることで、各科目というタテの視点を、各臓器というヨコの視点でとらえ直すことになり、疾患について見落とすことがないように、すみずみまで勉強するという気概をもって臨んでいました。今では、国家試験用の良い参考書が普及し、看護学生にとっても、参考書は臓器別に編集されているものだという認識があると思います。臓器別に視るということは、解剖生理学の知識が基礎となって、そこから、各科目の内容が展開されるということです。
解剖生理学を土台にして知識を有機的に憶えるということを頭では分かっていても、実際に自分で医学的知識を整理して、それを再編集して憶えるということは容易なことではありません。でも、自分流であっても、このようなまとめ方を始めてみれば、すでに知っている知識も新鮮に感じられてくるはずです。解剖生理学の学習事項をはじめ、医学的知識は膨大で、とても憶え切れるものには思えないかもしれません。おそらくは、与えられた学習事項を、ただそのまま受け容れて勉強するという心構えである限りは、学習の成果は上がらないでしょう。若いうちは、むりやり頭に詰め込めば憶えられるかもしれません。しかし、医療人になって、どんどん先進医療の知識に対応していくことになるわけですから、いつまでも、このような心構えでいることはできません。どうすればよいかというと、受身の勉強にとどまるのではなく、主体的な勉強に変えていけばよいのです。少しでも自分の手を動かし、頭をはたらかせることで、積極的で前向きな学習になっていきます。こうなると、学習の成果がどんどん上がり、勉強が楽しくなってくるでしょう。とにかく、自分の手を動かしてみましょう。