自分の頭の中を整理する国試ノートをつくる
結局は、本当に重要なことのみをまとめた国試ノートを自分でつくるのが、自分の勉強のためになります。ノートをつくるのにも、最初からびっしりと書き込むやり方と、必要なことをどんどん付け足していくことができるルースリーフを増やしていくやり方(ファイリングノート)があります。最初からびっしりと書き込むのは、勉強のための勉強であり、発展性がありません。一方、ルースリーフの使い方として、表(おもて)面だけに書いて、大きなカードのようにして扱うということがあります。実際、厚めの紙のものも販売されています。学習事項には、整理して憶えた方がよいものがありますから、それを、事項整理に適した形で一枚にまとめ、適宜、取り外して何回も眺めるのもよいでしょう。そのような項目として、ホルモン一覧表、脳神経一覧表、基準値などの図表をつくるのは必須です。
絶対に自分でつくっておきたい図表〈AAランク〉
ホルモン一覧表、脳神経一覧表、基準値
絶対に自分でつくっておきたい図表〈Aランク〉
免疫、血球、止血機構、ビタミン、中枢神経系、自律神経の神経支配、心臓、肺、尿生成、主要薬剤一覧、人口関連データ、死因順位、母性保護と出産・労働の両立支援、アレルギー、貧血の種類、尿失禁、性周期、妊娠経過と胎児、分娩・産褥、新生児
整理して憶えておくべき事項の例
出題基準の改定以降、国試の出題自体が、ポイントをおさえて出題されるようになっています。
●コ・メディカルの役割
●医療保険からの訪問看護
厚生労働大臣が定める疾病等
●介護保険法施行令での16の特定疾病
●定期巡回・随時対応型訪問介護看護
●マズローの基本的欲求階層論
●ジャパン・コーマ・スケール
●採血
●注射法
●穿刺
●心音聴取部位
●代表的な心電図
●圧痛点
●薬の副作用の代表的なもの
●消毒薬の種類
●WHOの3段階除痛ラダー
●災害サイクルと看護展開
●酸塩基平衡の異常
代謝性アシドーシス
代謝性アルカローシス
呼吸性アシドーシス
呼吸性アルカローシス
●脳梗塞の分類
●高血圧性脳出血
出血部位
●圧迫性神経障害
●染色体異常
21トリソミー
13トリソミー
18トリソミー
性染色体異常
●新生児反射
●発疹を生じるウイルス感染症
●予防接種と接種法
●学校での感染症予防と出席停止基準
●精神保健福祉法に定める入院形態
●統合失調症の症状
●気分障害(躁うつ病)の症状
ノートをつくる上での注意点
最近は、中学校などで、勉強の仕方自体をチェックするための、ノート提出による評価が行われている関係で、色ペンなどは20色セットのものが販売されています。だからといって、国試ノートを作成するのに多くの色を使う必要はありません。どの色を使うかに頭を使ってしまうからです。解剖図を描くのに適した色ペンもありますが、ほどほどにしておきましょう。描くのが目的ではありません。医療や看護のイラストの描き方としては、森皆ねじ子『ねじ子のヒミツ手技』全二巻、SMSが、現場でも通用するものとして参考になります。
国試ノートの進め方としては、過去問を解きながら、作成していくのがよいでしょう。過去問の中には、今後は出題されないと思われる問題もありますから、そのような問題については、つくる必要はありません。
まとめノートを何度もつくって、国試に間に合わなかったという話を聞いたりします。ここでご紹介したノートのつくり方は、そのような失敗を避けるためのものです。きれいなものでなくてもいいのです。つくり直さず、ページをどんどん増やしていきましょう。
蜂谷 正博
メビウス教育研究所 塾長
日本赤十字看護大学をはじめ全国の看護学部、看護専門学校、薬学部で看護師・保健師・薬剤師国家試験対策講座を担当。著書に『必修ラ・スパ』など。動画配信サイト「メディカルアップ」で名講義を公開中。元東京大学大学院医学系研究科客員研究員。
メビウス教育研究所:http://www.mebius-ed.co.jp/