2.Special interview:新生児集中ケア認定看護師
医療的なケアを必要とする新生児を受け入れる総合周産期母子医療センターには、赤ちゃんの重篤化の予防と成長・発達に関する専門的かつ高度な知識・技術を有する認定看護師が所属。新生児とご家族を支援する看護の実践と、看護スタッフの指導を行う大事な役割を担います。
赤ちゃんはもちろんご家族も支援し
親子関係を育む「家族中心」の看護
新生児集中ケア認定看護師
永田杏梨さん
NICUに赤ちゃんを預けることになったお母さんは、「ちゃんと産んであげられなかった」と自分を責めたり、赤ちゃんの疾患を受け入れることに悩んだり、お子さんに向き合えないことも少なくありません。
お母さんが赤ちゃんに向き合えるかどうかは、退院後の赤ちゃんの成長に大きく影響します。赤ちゃんを理解し、意識が向けられていれば、赤ちゃんの小さな変化やサインにも気づいて適切に対応できますからね。
ですからNICUの退院支援は、生まれた瞬間から始まっているともいえるでしょう。私たちは赤ちゃんがよりよく過ごせるように努めると同時に、お母さんをケアして、早期に親子の愛着形成ができるように支援することも重視しています。
お母さんの気持ちを的確に吸いあげ、
赤ちゃんに最適な環境を整える
新生児集中ケア認定看護師は、急性期である生後1週間の生理学的安定を図り、新生児を後遺症なき生存へ導くことを第一の目標にしています。そのためにはどんなケア・介入が適切かを考えて実践するほか、適切な看護ができる看護師を育成することも務めです。
新人看護師には「病気」をみるのではなく、「子どもと家族」をみてほしいと話しています。そのため知識や技術だけではなく、お母さんの気持ちに寄り添うための観察力も必要です。
想いを聞くのかただ一緒にいるのか、寄り添い方はお母さんに応じて変えています。保育器にいる赤ちゃんを抱っこできない代わりに両手で包み込んでふれてもらったり、ベッド周りを整えてかわいい写真を撮り、赤ちゃんの様子をこまめに伝えたり…。そうした後押しをすると、お母さんが赤ちゃんを意識できるようになっていくんですよ。