看護師だからできるケア 家族看護 救命救急センターの取り組み
聖マリアンナ医科大学病院

看護師だからできるケア 家族看護 救命救急センターの取り組み

コロナ感染症における家族看護

コロナの感染が拡大する中で、地域中核の特定機能病院として果敢に患者を受け入れてきた聖マリアンナ医科大学病院。
患者さんとご家族、それぞれの看護に携わったスタッフから、どんな点に気をつけながらケアを行ったか詳しく教えていただきました。

ビデオ通話での安心できる面会を実施

8年目
桑田 希衣さん

当院は、現在もコロナ患者の受け入れに対応し、重症患者の治療を行っています。未知の感染症に対してご家族の不安は大変に大きなものでした。直接面会することができなかったため、ビデオ通話による面会を実施しました。配慮した事は事前に患者さんの情報をお知らせすること。たとえば気管挿管の状態を突然見たら、誰でも驚いて不安が募ります。ご家族が少しでも安心して面会できるように、熱の有無、意思疎通の可否などについて前もって情報を伝えるようにしていました。患者さんご家族のケアを行う専門チームが結成され、医師や看護師、ソーシャルワーカーに加え、患者さん・ご家族と医療をつなぐ仲介者=メディエーターからなるチームに、自分たちだけで解決できない問題を相談することができました。ご家族の精神面や身体面を気にかけながら、どんな介入をすべきか、複数のスタッフで徹底的に話し合いながら、ご家族側の支援を担当しました。やがて患者さんが陰性になってビデオ通話から直接面会できるようになったとき、ご家族や患者さんのうれしそうな顔を見て感動しました。命に関わる現場だからこそ、どれだけご家族の不安を軽減できるのかが私たちの役割です。看護師の関わりによって、ご家族の精神状況は確実に変わります。今回の貴重な経験を活かし、これからも救命の現場でご家族の気持ちに寄り添い、より良いケアをしていきたいと思います。


タブレット端末を通しての面会(家族側)。
ご家族の精神的不安を軽減できるように、ビデオ通話などの代替手段を導入しました。

患者さんの信頼を得て、望みを持てるよう支援する努力を

12年目
吉野 沙織さん

私はビデオ通話による面会の患者側の看護を担当しました。気管切開や挿管している状態だと話ができず意思疎通に時間がかかってしまうので、ビデオ通話による面会の前に伝えたいことを聞き取っておくようにしていました。ご家族に向かってメモを読み上げていると、患者さんは話せないながらも「うんうん」とうなずきながら聞いていて、穏やかな面会の時間を作ることができました。また、寝たきりの状態から車椅子に乗れるまで回復したときは、その様子を動画で撮影し、ご家族に見てもらったこともありました。患者さんの中には、自分はこうしたいとか家族にこうしてほしいとか、遠慮して言えない方が多くいらっしゃいます。でも、それを無理に聞き出そうとするのではなく、天気のこと、趣味のことなど世間話をして、まずは信頼を得られるように努力しています。コロナという新たな病気に立ち向かう中で、患者さんとご家族の時間を大切にすることの重要性に改めて気づかされました。直接会えないままビデオ面会で看取りをしたとき、ご家族からいただいたのは「ありがとうございました」という言葉でした。最期のとき、ご家族の声はきっと患者さんにも届いただろうと信じています。


タブレット端末を通しての面会(患者側)。
ご家族の姿が映るタブレット画面を持って患者さんのベッドサイドに寄り添う吉野さん。
患者さんとご家族の大切な時間を支えています。
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