国試ノートをつくり始めよう
● 過去問を解き、知識を整理しながら、国試ノートのページを増やしていきましょう
ノートをつくるのは面倒に感じられます。そう感じられるのは、ノートをつくること自体が目標となってしまっているからです。本当のノートは、ネタ帳みたいなもので、自分の頭の中を整理するためのものなのです。国試に向けて、手放せない一冊をつくりましょう。
夏休みの過ごし方-国試の勉強を軌道にのせる
国試の勉強は進んでいらっしゃいますでしょうか。まだ手が着いていないという方は、この時期には、もう焦りを感じなければなりません。まず何か、手を着けやすいところからスタートしてください。この時期に、一回は模擬試験を受けて、自分がどれくらいのところに位置しているかを確認しておくのがよいでしょう。この時期の模擬試験の意義は、他の受験生がどのような勉強をしているのかをジロジロ見て、刺激を受けることにあります。
国試の勉強を軌道にのせるには、いくつかのスタイルがあります。自力では勉強しない・できないと決めた方は、仲間を探し、グループ学習を開始します。リモートがよいでしょう。毎回のテーマと担当者を決め、互いに教え合うことが大事です。場合によっては、学校の教員をゲストとして招き、分からないところを集中して教えてもらうのがよいでしょう。
勉強を軌道にのせるペースメーカーということでは、予備校の夏期講習に参加するのもよいでしょう。動画配信しているところがほとんどです。夏休みには、落ち着いて勉強したい分野を受講します。予備校の方でも、解剖生理学や病態生理学などの基礎医学系の講座や社会保障・関係法規の講座を用意していることでしょう。また、この時期は、多くの予備校で必修対策講座が開講されます。やはり、この時期に必修問題のところを固めておき、ある程度、時間をかけて、苦手なところをなくすようにします。
国試対策本をノートの代わりにする場合
さて、自分で勉強を進める場合、自分に合った国試対策本を持ち歩くことが多くなります。一冊の国試対策本を使い込むという人が多く、みんなが使っているものを自分も使うと、精神的に安定するでしょう。ある国試対策本では、どれくらい使い込んだかのコンテストを開催しています。これはもう、国試用のノートの代わりになっています。しかしながら、国試受験対策のプロの眼からみて、一冊の国試対策本のみを用いるというのは、実は、賢いやり方ではありません。一冊のみにこだわると、ある事項について、該当部分を読んで理解できない場合、非常に悩み、そこが弱点になってしまいます。できれば、別のもう一冊を用意して、メインの一冊で理解できない場合、もう一冊の方を参照すると、難なく理解できることがよくあります。このようなことに何度も出くわすと、メインの方ではなく、実は、もう一冊の方が、よい国試対策本であることに気づいたりします。医療系の場合、このような読み比べは、基本となるリテラシーです。将来、皆さんは、看護研究などで数々の論文を参照することになりますが、同じものを対象としていても、見解が分かれることがよくあります。そのようなときには、読み比べをして、どのようなことが起こっているのかを察知することが重要です。一般に、生理的メカニズムに即して書いてあるものは、正確で分かりやすいと言えます。
既存の国試対策本は本当に使えるのかを疑ってみることも必要です。使い込みのコンテストを行っている国試対策本では、「書かれていない重要なこと」は付箋に書いて貼るようにアドバイスしています。記載事項に漏れがあることを率直に認めているのです。国試対策本は、毎年、改訂されていますが、売れ行きを考えて、年度の初めの時期に書店に並ぶように急いでいるため、毎年2月実施の国家試験の出題を反映することが難しい状況にあります。そのため、国試によく出題される項目であるにもかかわらず、その項目がずっと取り上げられないままになっているといった事態が生じています。
多くの方は、過去問を解いてみて、その過程で、自分が分からなかったことを国試対策本で調べ、知識を補うという形で勉強を進めているでしょう。しかし、国試対策本を調べても、記載がないことが多いことに気づきます。たいていは、教科書に戻って確かめたり、インターネットで調べたりして、その項目をプリントアウトや縮小コピーにし、国試対策本に直接貼るか、大きめの付箋にメモ書きして貼ることになります。知りたい説明が何らかの形で見つかればいいのですが、最後まで分からなかったということもありえます。そのようなことを解消するためには、国試対策本を調べなくても、その場ですべて、きちんと解説してくれている過去問解説書を入手することになります。
なお、第112回の国試から、新出題基準によることになりますが、そこでは、「標準的な学生用教科書」「看護基礎教育」ということが強調されていて、「教科書」への回帰が示唆されています。実際、ここ数回の国試では、あえて、国試対策本に載っていない事項を選んで出題している印象があり、注意が必要です。