国家試験合格対策ドリル(2022〜2023)Vol.3 国試ノートをつくり始めよう

国家試験合格対策ドリル 第3回

自分の頭の中を整理する国試ノートをつくる

結局は、本当に重要なことのみをまとめた国試ノートを自分でつくるのが、自分の勉強のためになります。ノートをつくるのにも、最初からびっしりと書き込むやり方と、必要なことをどんどん付け足していくことができるルースリーフを増やしていくやり方(ファイリングノート)があります。最初からびっしりと書き込むのは、勉強のための勉強であり、発展性がありません。一方、ルースリーフの使い方として、表(おもて)面だけに書いて、大きなカードのようにして扱うということがあります。実際、厚めの紙のものも販売されています。学習事項には、整理して憶えた方がよいものがありますから、それを、事項整理に適した形で一枚にまとめ、適宜、取り外して何回も眺めるのもよいでしょう。そのような項目として、カタカナ語、基準値、ホルモン一覧表、脳神経一覧表などの図表をつくるのは必須です。項目の「定義」にさかのぼって正答を見出す問題も多数あります。このような問題には、学習事項を整理した図表を自分で作って憶えていくのが最もよい対処法です。

5年ほど前から、ここで言っている国試ノートと同様のものが出版されています。それが分かりやすいと思う人は、それを使うのもよいでしょう。しかし、多くの人は、その本の図表などに何か違和感を抱くようです。
やはり、自分でつくっていった方がよいです。

絶対に自分でつくっておきたい図表〈AAランク〉

カタカナ語、基準値、ホルモン一覧表、脳神経一覧表

絶対に自分でつくっておきたい図表〈Aランク〉

免疫、血球、止血機構、ビタミン、中枢神経系、自律神経の神経支配、心臓、肺、尿生成、主要薬剤一覧、人口関連データ、死因順位、母性保護と出産・労働の両立支援、アレルギー、貧血の種類、尿失禁、性周期、妊娠経過と胎児、分娩・産褥、新生児

整理して憶えておくべき事項の例

●コ・メディカルの役割
●医療保険からの訪問看護
 厚生労働大臣が定める疾病等
●介護保険法施行令での16の特定疾病
●障害高齢者の日常生活自立度判定基準
●認知症高齢者の日常生活自立度判定基準
●マズローの基本的欲求階層論
●倫理原則
●ジャパン・コーマ・スケール、グラスゴー・コーマ・スケール
●個人防護具の着脱方法
●バイオハザードマークの色
●画像診断の種類
●採血
●注射法
●穿刺
●呼吸音の異常
●心音聴取部位
●代表的な心電図
●神経機能の検査
●圧痛点
●薬の副作用の代表的なもの
●消毒薬の種類
●WHOの3段階除痛ラダー
●看護方式の種類
●地域包括ケアシステム
●酸塩基平衡の異常
 代謝性アシドーシス
 代謝性アルカローシス
 呼吸性アシドーシス
 呼吸性アルカローシス
●ショックの病態
●それぞれの癌の病態
●脳血管障害の鑑別
 出血部位
●圧迫性神経障害
●染色体異常
 21トリソミー(ダウン症候群)
 13トリソミー
 18トリソミー
 性染色体異常
●新生児反射
●発疹を生じるウイルス感染症
●発達段階
●BMI、カウプ指数、ローレル指数
●予防接種と接種法
●学校での感染症予防と出席停止基準
●フレイル、サルコペニア
●精神保健福祉法に定める入院形態
●統合失調症の症状
●気分障害(躁うつ病)の症状
●神経症性障害の症状

ノートをつくる上での注意点

最近は、中学校などで、勉強の仕方自体をチェックするための、ノート提出による評価が行われている関係で、色ペンなどは20色セットのものが販売されています。だからといって、国試ノートを作成するのに多くの色を使う必要はありません。どの色を使うかに頭を使ってしまうからです。解剖図を描くのに適した色ペンもありますが、ほどほどにしておきましょう。描くのが目的ではありません。医療や看護のイラストの描き方としては、森皆ねじ子先生の本のイラストが、現場でも通用するものとして参考になります。

国試ノートの進め方としては、過去問を解きながら、作成していくのがよいでしょう。過去問の中には、今後は出題されないと思われる問題もありますから、そのような問題については、つくる必要はありません。

まとめノートを何度もつくって、国試に間に合わなかったという話を聞いたりします。ここでご紹介したノートのつくり方は、そのような失敗を避けるためのものです。きれいなものでなくてもいいのです。つくり直さず、ページをどんどん増やしていきましょう。


蜂谷正博 メビウス教育研究所 塾長

蜂谷 正博 メビウス教育研究所 塾長、
東都大学客員教授、岐阜医療科学大学客員教授

日本赤十字看護大学をはじめ全国の看護学部、看護専門学校、薬学部で看護師・保健師・薬剤師国家試験対策講座を担当。著書に『必修ラ・スパ』など。元東京大学大学院医学系研究科客員研究員。

メビウス教育研究所:http://www.mebius-ed.co.jp/

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