仲間の支えが看護への情熱を突き動かす!
急性期病院の新人ナース(オペ室編)
彩の国東大宮メディカルセンター

仲間の支えが看護への情熱を突き動かす!急性期病院の新人ナース(オペ室編)

地域の中核病院として、高度医療と質の高い看護を提供すると評判の「彩の国東大宮メディカルセンター」。二次救急および埼玉県がん診療指定の医療機関として、地域の患者さんが安心して治療やサポートを受けられるように、各部門の整備やスタッフ教育に注力している。同時に、“看護に喜びを感じながら働き続けられる職場”の強化も目指し、個々のキャリアアップ支援やワークライフバランスに考慮した環境・制度づくりにも余念がない。
同院のオペ室で働く新人・菊池看護師は、「多忙な毎日を送りながらも看護の楽しさややりがいを感じられるのは、同期や先輩など院内のさまざまなスタッフのおかげだ」と話す。新人オペナースと、その新人を見守りフォローする「支え人たち」に、それぞれの想いを聞いた。

新人ナース
多くのスタッフに見守られながら、発見と学びと喜びの毎日!!

看護師

新人ナース 菊池 来未さん

(オペ室勤務、2022年4月入職)

アール医療福祉専門学校卒業。あたたかみのある雰囲気に惹かれ、同院に入職。希望していたオペ室に念願かなって1年目から配属される。

他部署のスタッフからのやさしい声かけや
先輩たちの「大丈夫だよ」が仕事のモチベーションアップに!

2022年4月、同院に入職し、現在はオペ室業務を担う菊池看護師。病院見学のときに感じたあたたかみのある雰囲気は、入職後も変わらないという。
「それどころか、想像を超えてあたたかいスタッフばかりでした!」。
他部署のスタッフとも、「おはようございます」「おつかれさまです」と声をかけ合う。些細なことのようだが、毎日のこうしたコミュニケーションが「他部署のスタッフにも支えられているなぁ」と強く感じ、仕事のモチベーションアップにつながると笑う。
入職から半年ほど経つが、心が折れそうになったり、くじけそうになったことはないのか尋ねてみた。
「もちろん、ありました」と苦笑いをする菊池看護師。
「入職当初は、先輩たちが全面協力で支えてくれるので失敗はありませんでしたが、少しずつ業務のひとり立ちをした途端、失敗してしまい、それでちょっと気持ちがつまづいてしまって・・・。プリセプターさんに相談して泣きはらしました(笑)」。
プリセプターからの「大丈夫だよ」という声かけで自信をつけてもらい、気持ちが復活したそうだ。
「次の日からは、“またがんばる!”って決めました」と、満面の笑顔を見せた。

業務の様子

しかし、新人ナースの中には、救急患者さんへの対応や看護のスピード感、瞬時に求められるケアの判断など、病院見学で感じたあたたかい雰囲気だけではない急性期医療の現場の厳しさを痛感し、思い悩んでしまう者も少なくないようだ。菊池看護師に、そうしたギャップはなかったのかも聞いてみた。
「確かに知らないことが多くて、プレッシャーを感じる場面は多くあります。オペ室は特に症例が多く、毎日が勉強ですから」。
先輩からヒントはもらえるが、自分自身で調べて勉強するのは毎日のことだという。そんな多忙な状況でも、菊池看護師は「楽しむこと、全部プラスに考えること」を大切にしている。
「つらいって思ったら全部つらくなってしまうので、つらい状況の中にどこまで楽しさを見出せるかだと思っています」。
さらに、「“厳しいぞ、大変だぞ”とプレッシャーに感じているくらいが、ちょうどいいのでは・・・」とも。そうすれば、何が起きても想定内と思えるからだそうだ。

ハードなオペ室勤務でも、楽しく思えるかは自分次第
周囲に支えられながら、この病院で成長していきたい

医療の世界は、ドラマのようにハッピーエンドとはいかない。「厳しい」といわれる看護業界や急性期医療の現場で、さらにはハードな部署と見られるオペ室業務の中で、日々どのように向き合っているのかを菊池看護師に尋ねてみた。
「“私ってスキルがないな、視野が狭いな”って、自分自身に失望することが多いです」。求められているものに自分が応えられていないと感じると、自分自身に失望して落ち込むことがあるという。
「どのようにして克服しているのか?」と尋ねると、「悪かったことをノートに書き出して、どうやったらできるかを考えています」と教えてくれた。客観的に自分を見つめ直し、課題点を克服していくというプロセスを大事にしている。
また、同期たちの存在も欠かせない支えとなっている。気持ちが落ち込んだときや心がへこんだとき、たとえなぐさめの言葉をかけ合うことはなくても、同期たちのがんばる姿を見ることで心が癒され、やる気とパワーがあふれてくるそうだ。
「それと、いろいろな先輩たちにも支えられています」とも話す。先輩たちとは、身近にいるプリセプターや看護師長、教育専従者ほか、医師や事務方など他部署のスタッフも含まれている。
「病院全体で新人ナースを見守り支えよう」という想いが、院内のあたたかな雰囲気をつくり出しているのかもしれない。

業務の様子
看護師長と手術の準備に入る菊池看護師。
毎日が発見と学びと、その喜びの連続だと語る。

「“自分の手技が不安だから、一緒についていてください”と先輩に頼んだら、“あなたならできるよ”」と背中を押されたという。獅子の子を崖から落とす―ではないが、新人を一人前の看護師にするためには、先輩たちもいつもやさしく見守りサポートするだけではなく、時には心を鬼にして指導することも必要なのだろう。
「先輩方はやさしいけれど、甘えることなく自分がどこまで突き詰めるかだと思います」。
菊池看護師も自分自身で技術や知識を追究し、一人前の看護師を目指すことが大切だと理解している。
オペ室だけではなく、院内のさまざまなスタッフたちとも気さくに相談ができたりアドバイスをもらえる、そうした境界線や壁のない環境も、菊池看護師が「この病院で成長していきたい」と思える大きな力になっているようだ。
目指す未来の看護師像も聞いてみた。
「まだ将来は見えていません。目の前の業務に追われて先のことはわからない」。それが本音であり、看護師1年目の正直な心情だろう。
しかし、「今は患者さんの術前術後の経過が見えていないですが、将来は患者さんを一貫して看られる看護師になりたい」という。オペ室だけではなく、ゆくゆくは病棟勤務にも従事し、術前術後の患者さんに対する危機管理ができる看護師に成長したいそうだ。
そういって笑う眼には、看護への情熱と強い意志が感じられた。

支え人1 プリセプター
自分の新人時代を思い返しながら指導することで、
新人の悩みに寄り添える

看護師

プリセプター 阿内 颯仁さん

(オペ室勤務、入職4年目)

同院系列の看護学校を卒業後、「急性期医療の現場で新たな知識を少しでも多く吸収したい」と考え、多数の症例に対応できる同院へ就職した。

同じ経験をしてきたからこそ新人の気持ちがわかる!
だから一緒に悩み考え、寄り添える存在でありたい

オペ室に勤務する阿内看護師は、2022年4月から「プリセプター」として新人ナース・菊池の指導にあたっている。
阿内看護師に、プリセプターとして新人ナースを指導する心がまえについて聞いてみた。
「新人の頃、自分がどのように教えてもらったらわかりやすかったかを思い出すようにしています。教えられる立場を想像しながら指導することで、新人ナースの悩みに寄り添えると思うからです」。
阿内看護師自身、オペ室業務はゼロからのスタートで、かなり大変であったそうだ。学生時代はオペ室の実習がほとんどなかったため、学校の看護授業だけでは知識が足らず、入職後、業務に対応できなかったからだと思い返す。求められるものが病棟看護師とは異なるため、一からの勉強が必要だったと入職当時を振り返る。
阿内看護師の新人時代、周りからはどのようなフォローがあったのかを尋ねてみた。

業務の様子

「“こういうふうに覚えたらわかりやすいよ”とか、“こうやったら頭に入りやすいよ”など、いろいろな方法を教えてもらいました。だから先輩から受けたフォローを参考に、次は自分が新人のサポートをしてあげたいと思っています」。
実は以前にも、新人ナースを担当したことがあるという。
「その頃はまだ、自分も物事を教えることに慣れていなかったのでサポートが足らず、その新人さんには申し訳ないことをしたと思います。でも、自分が対応できないとわかった時点で上司に相談し、ほかのスタッフにもサポートに入ってもらうことができました」。
自分ができないところは、ほかの先輩に頼ればフォローしてもらえる。プリセプターが一人で抱え込まず、さまざまなスタッフに相談しながらみんなで新人を指導しサポートしていける―、同院の強みとする「チーム力」がそこには感じられる。

“兄のような気持ち”で全面的にフォローする
プリセプターの存在が、新人の安心感と成長になれば…

業務の様子
阿内看護師に、手術の準備や器具の整え方などを一緒に確認してもらうことも。
一番身近で頼れる先輩だ。

菊池看護師に対しては、どのようなフォローを心がけているのだろう。
「“大丈夫?”と、常に声をかけるようにしています。本人は“大丈夫です”って答えるんですが、全然大丈夫じゃないんですよね(苦笑)」。
新人ならではの悩みも先輩として理解している阿内看護師は、菊池看護師が不安に思いそうな部分は特に注意してフォローしているそうだ。
「オペナースだからといって、新人には高度な技術や知識を最初から求めてはいません。それよりも、“現場でわからないことがあったら、すぐに先輩に聞くことが大切だよ”と伝えています」。
わからないまま進めてしまうと、患者さんへのリスクや不利益を招き、結果、看護師としての自信喪失にもつながってしまうおそれがあるからだと苦言する。
「あとは毎日休まず元気に職場に来てくれれば、今はなんでもいいです(笑)」。
新人ナースの知識や技術は、これからつけていけばいい。まずは健康に気をつけて、とにかく元気に働いてくれるのが一番だと考えている。
ただ、就活を始める看護学生たちには、病院見学で感じる同院のあたたかい雰囲気と、実際に入職して目の当たりにする急性期医療のスピーディーな現場や、オペ室のハードな業務に「ギャップ」を感じる場合があることも理解し、気をつけて就活をすべきだとアドバイスをする。阿内看護師の場合、どのようにして就職先を決めたのか。
「当院へは学生時代に何回か実習に来ていたので、病棟の雰囲気もわかっていましたし、自分がこの現場で働くイメージがある程度できていたので、入職後も大丈夫でした」。
やはり病院見学に行って、現場がどのような雰囲気で仕事をしているのかを自分の眼で見ておくことは賢明だ。
現時点の菊池看護師を、プリセプターとしてどのように見て(評価して)いるのかも聞いてみた。
「菊池は、毎回教えたことを勉強してがんばってくれているなと思っています。修得の吸収率も高いし、自分なりに覚えようとしてくれています」とうれしそうに教えてくれた。
業務中の阿内看護師と菊池看護師を見ていると、まるで兄と妹のようだ。オペ室で器具を整えるときも、阿内看護師が先んじて菊池看護師の作業がしやすいように動く。新人を全面的にサポートしようとするプリセプターとしての責任感や包容力が、菊池看護師に安心感を与え、毎日成長していこうとする「強い人間力」を育んでいるように見えた。

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